教員ブログ

中庭に別れを告げる時

  • 医療福祉学科
  • 2017年3月28日

今年度で定年を迎え、桜の花が咲き始める頃、本学を退職いたします。平成16年の開学からですので、静岡福祉大学の歴史が刻まれていくプロセスを歩んできた13年間でした。振り返れば、長いような短いような年月です。その年月を彩ってくれたのがキャンパスの中庭でした。始めてキャンパスを訪れた時、桜の花の形(当時は星型と思っていました)をした花壇を真ん中に緩やかな起伏の丘の間を抜けるように道が続く中庭に惹かれました。幸運にも研究棟の2階にある私の研究室の窓は中庭に面していて、朝日に輝く花壇、風の行き交う丘の上の大木、夕映えに包まれていく曲がりくねる道・・・四季折々の中庭の表情を大いに楽しむことができました。福祉創造館が建つ前は中庭から富士山を見ることもできました。

中庭から富士山が見えました。懐かしい風景です。
写真1

私は情報関連の授業を担当する教員として就任しましたが、平成21年度からは診療情報管理士養成科目も担当することになり、それまで経験したことのない病院実習の巡回も行いました。新たな自分を発見する機会でもありました。教員生活最後の1年間は、焼津市と本学の包括連携事業の一環として「地域の小さな居場所」という企画を実践されている先生のお手伝いをさせていただき、多くのことを学ばせていただきました。福祉の大学の教員として地域の活動に参加させていただいたことに感謝しています。さらに2月に開催された「地域の小さな居場所」の報告会では、その活動に参加し支援して下さった地域の皆様や信頼する同僚の先生方、懐かしい卒業生などに囲まれて、大学教員として最後のお話をすることができ、この上ない幸せでした。

“贈る言葉”のメロディーが流れる中、素敵な花束をいただきました!
写真2
※以下のURLにアクセスして「地域の小さな居場所」の軌跡をぜひご覧ください。

https://www.facebook.com/chiikinochiisanaibasho/?ref=page_internal

13年間の思い出が詰まった研究室の掃除が終わり、窓から見下ろす中庭はあいにくの雨でした。富士山が見える辺りに建つ福祉創造館には灯りが点っていました。キャンパスに桜が咲き誇る頃、新入生を迎えた中庭を思い浮かべながら、私も新たな一歩を踏み出します。

   人はみななにかにはげみ初桜 深見けん二

静岡福祉大学の教員として関わらせていただいた皆様に感謝し、ご健康とお幸せを願いつつ、お別れいたします。

(医療福祉学科 加藤あけみ)

🌸花咲月に思う事🌸

  • 子ども学科
  • 2017年3月15日

「染色家志村ふくさんが、染め上げた糸は、淡く燃えるような強さを内に秘めた華やかで深く落ち着いた桜色。これは、桜のはなびらではなく、皮から取り出した色なのです。・・・この色は、1年中どの季節でも取れる訳ではない。桜の花が咲く直前の頃、山の桜の皮をもらって染めるとこうした上気した得もいわれぬ色が出せるのだ・・・春光、間もない花となって咲き出ようとしている桜の木が花びらだけでなく体全体懸命になってピンク色になろうとしている・・・全体の一刻も休むことない活動の精髄が春という時節に桜の花びらというひとつの現象になるに過ぎないのだった・・・・・ 」大岡信「言葉の力」

大人から見たら子どもの心や行動は、理解できなかったり怒ることも多いですが、それは、子ども自身の1部です。子どもの今を輝く姿の中にある見えないエネルギーを感じ、元気のない時も、出来ない時も、困った時も、輝くエネルギーになることを信じ、春の子ども達との出会いに心を膨らませています。

(子ども学科 岡村由紀子)

一年の学びを振りかえる

  • 健康福祉学科
  • 2017年3月14日

新1年生と一緒に本学の門をくぐってから、早一年が経ちます。満開の桜の中に身を置きながら、ふと思い浮かんだ「学びの場に毎月参加」という目標を心にとめて、教員生活をスタートさせました。……3月を迎えた今、“だいたい”達成できた目標と共に、小さな師匠たちとの学びを振り返りたいと思います。

<4月>*エンドオブライフ・ケア協会 設立1周年シンポジウム*
<5月>*日本介護福祉学会 平成28年度公開講座 シンポジウム*
<6月>*NPO法人東京自由大学主催講座*
<7月>*焼津市立総合病院シンポジウム*
<9月>*第24回日本介護福祉学会大会*
<10月>*平成28年度 全国教職員研修会*
<11月>*福祉とくらしのセミナー*
<12月>*SSK(新社会システム総合研究所)セミナー*
<1月>*死生学カフェ**静岡いのちの電話講演会*
<2月>*哲学カフェ**ドキュメンタリー映画「大地を受け継ぐ」*
<3月>*看護と介護の日本語教師のための教師研修*

<7月>7月28日(木)~31(日)
*平成28年度 富士市・雫石町少年交流事業*(保健担当)富士市教育委員会・雫石町教育委員会 主催
「合同慰霊祭(慰霊の森)」

写真⑪慰霊祭坂
550段の石段を登って慰霊の森を目指しました。

写真⑫慰霊祭

写真⑬慰霊祭
1971(昭和46)年7月30日に全日空機と自衛隊機の空中衝突事故の航空機墜落現場です。乗客・乗員162名(富士市民125名)全員の尊い命が失われました。その後毎年、富士市、雫石町、関係団体の皆さんによって「慰霊祭」などが行われてきました。少年交流事業は今回で12回目になります。

写真⑭雫石町
162名分の「祈りの灯」。雫石町の皆さんの手作り「祈りの灯」が歓迎会の会場入口まで灯されていました……。

新聞写真 (1)
「合同慰霊祭」の様子が、新聞に掲載されました。(岩手日報・盛岡タイムス)

この一年間、いつも温かな心でお力添え下さった教職員の皆さまをはじめ、支えて下さった方々、学びをくださった方々に深く感謝いたします。どうもありがとうございました。

(健康福祉学科 本多祥子)

高齢者の自伝的記憶

  • 福祉心理学科
  • 2017年3月1日

 「小学校時代に経験したこと」とか「2000年の夏どこへ旅行に行ったか」などの自分自身についての記憶がある。このような記憶は,自伝的記憶(autobiographical memory)とよばれています。

 自伝的記憶についての記憶の量は膨大であり,すべて主観的なものであるとも言えます。実証性にかけることから,重要な研究テーマであると認識されていたにも関わらず,従来からの実験室での記憶実験においてはあまりとりあげられることがありませんでした。
 ところが,単語手がかり法と呼ばれる実験方法が,米国の著名な心理学者であるルービン(日本にも何度か来ています)を中心として組織的に研究が行われ,高齢者についても多くの検討が重ねられてきています。この単語手がかり法は,英国のゴールトン卿によって初めて考案されました。

 実験参加者は一連の単語のリスト(本,機械,悲しみ,喜び)を与えられます。それぞれの単語に対して個人的な記憶を自由に連想します。そして,単語リストの連想終了後,連想された出来事の日付の報告が求められました。その結果,連想される記憶は,児童期(39%),成人期(46%),最も最近(15%)の3期からでした。
 ルービンらは,記憶頻度の分布について過去に行われた3つの実験に参加した実験参加者を用い,高齢者70名についての再分析を行いました。 

 

自伝的記憶_図

 

 図1の縦軸には,生起された記憶頻度の合計,横軸には,出来事を記憶していた年数(記憶保持期間)が示してあります。図1が示すように,最近約20年間(図の横軸の1-10から11-20)では,最近になるに連れて記憶頻度が高くなる現象がみられます。また,実験参加者の出来事が起こった時の記憶保持期間が41-50の期間(実験参加者の暦年齢では21歳~30歳)で頻度が高くなる現象(レミニッセンス・バンプ)がみられます。さらに彼らは図1ら示される現象以外にも,生後0歳から10歳くらいまでの乳幼児期のころの記憶について検討した結果,生後0歳から5歳まではほとんど記憶がないという幼児期健忘という現象の報告も行っています)。

 なお,自伝的記憶のなかでも,一時的に記憶頻度が高くなる現象については新たな知見も報告されています。情動との関連からの検討が行われ,負(negative)の情動よりも,正(positive)な情動を伴った出来事の方が記憶頻度が高くなるとの報告がありあります。

 以上,高齢者の自伝的記憶では,20歳代の正の情動の出来事の記憶頻度が高いことが明らかになっています。

(福祉心理学科 石原治)

みかん山

  • 健康福祉学科
  • 2017年2月27日

 藤枝市岡部にある福祉センターの近くの「みかん山」。

 これまで、なんどか訪れることがあった場所だが、背後の山の斜面にこんなにみかんがたわわに実っているのは知らなかった。いつもは時間を気にしながら会議室に急いでいるからなのだろうが、今日は少し早めに着いた。何度か春の嵐の突風が吹いて、その度に春らしい陽気になってきたせいもあるのだろう。裏山の斜面が黄色くあざやかに色づいていることに気づいた。

 しばし、傾斜のきつい草と土の道を登っていくと、東海道の峠に至る山々と、焼津に向かう平坦な市街地のはるか向こうに、かすかに駿河湾を望むことができた。すばらしい景観だ。普段は忙しく動いている日常の時間のすき間のわずか2~3分のそぞろ歩きが、こんな思いがけない楽しみをもたらしてくれる。

 それにしても、いろいろな種類のみかんの色合いの鮮やかさは何だろう。青空と緑の葉とのコントラストはなぜこのように春の訪れを言葉をはるかに超える清冽な感覚で伝えてくれるのだろう。絵の具をいくら混ぜても造れない色、自然の色彩は見事と言うしかない。

 そんな驚きと喜びに満ちた時間は、ちょっとした日常のサイドステップによっても手に入れることができる。

 2月の終わりのある日の小さな、しかし確かな発見であった。

(健康福祉学科 西尾敦史)

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