教員ブログ

不登校のススメ

  • 福祉心理学科
  • 2017年9月4日

9月1日は、1年で最も10代の自殺者数が多い日です。報道でご覧になった方もたくさんいらっしゃるでしょう。夏休みが終わって学校が始まる、でも行きたくない、でも行かなきゃいけない、どうしよう? どうしようもない。このようにして追いつめられたあげく、自ら死を選んでしまう人が後を絶ちません。
上に書いた思考の流れは、どこかが間違っています。どこが間違っているのでしょう? 「夏休みが終わって学校が始まる」これは事実です。「でも行きたくない」これは正直な気持ちでしょう。「でも行かなきゃいけない」ん? 誰がそんなこと言っているんでしょう? お母さんが? お父さんが? 先生が? それとも自分の中の心の声が??

学校は別に行かなきゃいけないところではありません。子どもは学校に行かないといけないというルールはありません。義務教育という言葉があります。義務教育の義務とは、親が子どもに教育を受けさせる義務のことです。親が子どもを学校に行かせずに働かせたりしてはいけませんよ、という意味です。

多くの人にとって多くの場合、学校には行けるものなら行っておいたほうが、後の人生の幸福につながりやすいかもしれません(ただしそれも100%ではありません)。ただ、くれぐれも間違えないでください。人は幸福な人生のために学校に行くのです。学校に行くために幸福な人生を犠牲にする必要は、どこにもありません。

あなたが生きているということよりも大切なことなど何一つないということ、そのことを忘れないでください。

(福祉心理学科 草野智洋)

前期を終えて

  • 福祉心理学科
  • 2017年8月18日

前期が終わりました。私の授業の受講生は、沢山の課題に追われてさぞかし大変だったと思います。特にゼミ生(3年生)は、ゼミでも発表課題が何回も出され、授業でもレポート課題が出され、さらには社会福祉士の実習準備などもあり、ハードな半年だったと思います。案外、大学生って暇じゃないんですね…皆さんよく頑張りました!

さて、私のゼミでは心理学研究法に基づいた卒業研究を行います。前期3年生ゼミでは、各々が興味のある心理学論文を検索し、その内容をレジュメにして発表してもらいました。その中で、ゼミ生にとっての大きな壁は、統計的に処理された結果の解釈だったと思います。実は、心理学論文の多くは実験や調査で得られたデータに対して統計的検定を行っていて、ほとんどの学生は数値をみるだけでやる気が下がります(数学の苦手意識があるためでしょうか?)。しかも近年の論文では、授業で教わらない統計記号や分析手法もちらほらと…。それでもゼミ生は、必死に自分で統計の本を読み込み、論文の結果を解釈して発表していました(偉いよね!)。前期が終わる頃、「統計分析をした論文を読むことの抵抗感がなくなった」とため息交じりにゼミ生が言っていて、私はしめしめと内心喜んでいました(笑)。

もちろん、統計は心理学研究をするための材料に過ぎないので、統計知識だけでは論文を正しく読むことはできないし、卒業研究もできません。後期は、ゼミでの議論を深めながら心理学研究に必要な科学的思考力を伸ばして、楽しく卒業研究に取り組んでもらえればと私は願っています。

余談ですが、ゼミは私の研究室で行っています。今年の4月に着任したばかりで、今はすっきりとした環境です(広くてありがたい)。これからどれだけ物が増えるのやら…。

(福祉心理学科 小川翔大)

研究室風景

もうすぐ七夕ですね

  • 福祉心理学科
  • 2017年6月26日

七夕は、五節句の一つで、7月7日に行われる日本の伝統行事です。

古来、中国では「牽牛(けんぎゅう)」星は農業をつかさどる神、「職女(しょくじょ)」星は織物や裁縫をつかさどる神としてあがめられてきました。そして、この二つの星が天の川をはさんでめぐりあう七夕の日、裁縫などの技術の上達を願うため、「牽牛」星と「職女」星をまつる「乞巧奠(きっこうでん)」という行事が行われていました。それが日本に伝わり、日本にもともとあった信仰と組み合わさって誕生したといわれています。すでに奈良時代には七夕行事が行われていたそうですよ。
 
現在の七夕まつりといえば、全国的には宮城県仙台市が有名ですね。静岡の清水でも行われていますね。大体、願い事をしるした五色の短冊を笹に飾って星に祭り、朝に川に流すという形が基本のようです。しかし、近年は環境問題もあって川に流すことはしなくなってきたようです。七夕が過ぎると夏休みももうすぐですね。
 
さて、今年の七夕では、どのような願い事をしますか?あなたの願いがかなえられますように。

(福祉心理学科 梼木てる子)

宮本武蔵という生き方

  • 福祉心理学科
  • 2017年6月2日

高校時代を振り返ると、吉川英治著「宮本武蔵」を何度も読み返したことを覚えています。その思想は、その後の自分の人格形成に大きな影響を与えました。心の奥底に刻み込まれた価値観は、今でも無意識に要所要所で現れてきます。

ところで先日、九州熊本を訪問する機会がありました。熊本と言えば細川藩のお膝元、宮本武蔵が長い浪人生活の末、59歳にしてはじめて、念願の仕官を手に入れた地です。そして武蔵は、この地の霊巌洞という洞穴に籠り、「五輪の書」を書きあげたのです。「五輪の書」とは宮本武蔵が執筆した兵法の基本書の一つであり、現在でも実践的な人生訓として世界中で読み継がれています。

熊本に来たのだから、少しでも武蔵に近づきたいという想いに駆られ、この霊巌洞を訪れました。山深い緑を抜けると、ひっそりとした大きな洞穴が現れてきます。早速洞穴に入り、武蔵も眺めたであろう眼下の山林に視線を向けました。静寂の中、太陽の光や新緑がとても眩しく、洞穴の内側と外側の境界線を体感できる空間で、物事を深く思慮するうえで最適な場所です。ここで武蔵は余生を送り、1年足らずで「五輪の書」を書き上げ、寿命を迎えることとなります。

命を懸けた武道に人生を捧げ、二天一流の兵法を極め、日本一の剣豪として天下に名声を上げ、しかし夢の仕官が叶うも59歳という苦難に満ちた人生です。この場所で武蔵は自分の生涯を振り返り、そして後世に伝えるべき魂を、一文字一文字、文章に刻み込んだことを想像すると感無量になります。

熊本城につながる街道沿いに、武蔵塚公園という墓地があります。そこには、鎧や甲冑を身に付けた武蔵が、立ったまま埋葬されています。没後372年が経過した今でも、武蔵は細川藩を見守っているのです。

(福祉心理学科 岩本勇)

1

2

3

4

5

高齢者の自伝的記憶

  • 福祉心理学科
  • 2017年3月1日

 「小学校時代に経験したこと」とか「2000年の夏どこへ旅行に行ったか」などの自分自身についての記憶がある。このような記憶は,自伝的記憶(autobiographical memory)とよばれています。

 自伝的記憶についての記憶の量は膨大であり,すべて主観的なものであるとも言えます。実証性にかけることから,重要な研究テーマであると認識されていたにも関わらず,従来からの実験室での記憶実験においてはあまりとりあげられることがありませんでした。
 ところが,単語手がかり法と呼ばれる実験方法が,米国の著名な心理学者であるルービン(日本にも何度か来ています)を中心として組織的に研究が行われ,高齢者についても多くの検討が重ねられてきています。この単語手がかり法は,英国のゴールトン卿によって初めて考案されました。

 実験参加者は一連の単語のリスト(本,機械,悲しみ,喜び)を与えられます。それぞれの単語に対して個人的な記憶を自由に連想します。そして,単語リストの連想終了後,連想された出来事の日付の報告が求められました。その結果,連想される記憶は,児童期(39%),成人期(46%),最も最近(15%)の3期からでした。
 ルービンらは,記憶頻度の分布について過去に行われた3つの実験に参加した実験参加者を用い,高齢者70名についての再分析を行いました。 

 

自伝的記憶_図

 

 図1の縦軸には,生起された記憶頻度の合計,横軸には,出来事を記憶していた年数(記憶保持期間)が示してあります。図1が示すように,最近約20年間(図の横軸の1-10から11-20)では,最近になるに連れて記憶頻度が高くなる現象がみられます。また,実験参加者の出来事が起こった時の記憶保持期間が41-50の期間(実験参加者の暦年齢では21歳~30歳)で頻度が高くなる現象(レミニッセンス・バンプ)がみられます。さらに彼らは図1ら示される現象以外にも,生後0歳から10歳くらいまでの乳幼児期のころの記憶について検討した結果,生後0歳から5歳まではほとんど記憶がないという幼児期健忘という現象の報告も行っています)。

 なお,自伝的記憶のなかでも,一時的に記憶頻度が高くなる現象については新たな知見も報告されています。情動との関連からの検討が行われ,負(negative)の情動よりも,正(positive)な情動を伴った出来事の方が記憶頻度が高くなるとの報告がありあります。

 以上,高齢者の自伝的記憶では,20歳代の正の情動の出来事の記憶頻度が高いことが明らかになっています。

(福祉心理学科 石原治)

ページの先頭へ