教員ブログ

高齢者の自伝的記憶

  • 福祉心理学科
  • 2017年3月1日

 「小学校時代に経験したこと」とか「2000年の夏どこへ旅行に行ったか」などの自分自身についての記憶がある。このような記憶は,自伝的記憶(autobiographical memory)とよばれています。

 自伝的記憶についての記憶の量は膨大であり,すべて主観的なものであるとも言えます。実証性にかけることから,重要な研究テーマであると認識されていたにも関わらず,従来からの実験室での記憶実験においてはあまりとりあげられることがありませんでした。
 ところが,単語手がかり法と呼ばれる実験方法が,米国の著名な心理学者であるルービン(日本にも何度か来ています)を中心として組織的に研究が行われ,高齢者についても多くの検討が重ねられてきています。この単語手がかり法は,英国のゴールトン卿によって初めて考案されました。

 実験参加者は一連の単語のリスト(本,機械,悲しみ,喜び)を与えられます。それぞれの単語に対して個人的な記憶を自由に連想します。そして,単語リストの連想終了後,連想された出来事の日付の報告が求められました。その結果,連想される記憶は,児童期(39%),成人期(46%),最も最近(15%)の3期からでした。
 ルービンらは,記憶頻度の分布について過去に行われた3つの実験に参加した実験参加者を用い,高齢者70名についての再分析を行いました。 

 

自伝的記憶_図

 

 図1の縦軸には,生起された記憶頻度の合計,横軸には,出来事を記憶していた年数(記憶保持期間)が示してあります。図1が示すように,最近約20年間(図の横軸の1-10から11-20)では,最近になるに連れて記憶頻度が高くなる現象がみられます。また,実験参加者の出来事が起こった時の記憶保持期間が41-50の期間(実験参加者の暦年齢では21歳~30歳)で頻度が高くなる現象(レミニッセンス・バンプ)がみられます。さらに彼らは図1ら示される現象以外にも,生後0歳から10歳くらいまでの乳幼児期のころの記憶について検討した結果,生後0歳から5歳まではほとんど記憶がないという幼児期健忘という現象の報告も行っています)。

 なお,自伝的記憶のなかでも,一時的に記憶頻度が高くなる現象については新たな知見も報告されています。情動との関連からの検討が行われ,負(negative)の情動よりも,正(positive)な情動を伴った出来事の方が記憶頻度が高くなるとの報告がありあります。

 以上,高齢者の自伝的記憶では,20歳代の正の情動の出来事の記憶頻度が高いことが明らかになっています。

(福祉心理学科 石原治)

家庭に恵まれない子どもの養育 ~里親制度って何?~

  • 福祉心理学科
  • 2017年2月20日

こんにちは。福祉心理学科の相原です。

さて、2月19日(日)に東京の虎ノ門で「里親養育の質の向上を目指して」という興味深いフォーラムが開かれるということでしたので、休日返上で(笑い)参加してきました。

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ところで、皆さんは「里親制度」のことをご存知ですか。

実は、今の日本には何らかの事情で生みの親に育ててもらえない0歳から18歳までの子どもが4万人近くいますが、そのうち85%くらいの子どもは施設で生活し、15%くらいの子どもは里親さんの家で生活しています。

生みの親が育てられない事情は様々ですが、最近は、虐待や育児放棄などが多くなってきており、親から虐待された結果、心に傷を負った子どもも少なくありません。

つまり、里親とは、そのような子どもたちを自分の自宅に迎え入れ、豊かな愛情と適切な養育方法に基づき子どもたちの健全な成長発達を促す人のことであり、国が保障する児童福祉制度の重要な柱にもなっているのです。

ここまで読んだ方は、里親制度について興味が出てきましたか。それとも、養子縁組とはどのように違うのだろうかとか、どのような人が里親になるのだろうかとか、様々な疑問が湧いてきましたか。

もしそうなら、私と一緒に勉強しましょう。今回のフォーラムでは、イギリスでどのように里親制度が運営され、里親にどのような支援がされているのかを学ぶことができました。

一人でも多くの方に、子どもと家庭が置かれている状況や、そのような子どもと家庭への支援のあり方について感心を持っていただけることを願っています。

(福祉心理学科 相原眞人)

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第39回静岡県ボランティア研究集会が開催されます

  • 福祉心理学科
  • 2017年1月11日

 ボランティア研究集会は、静岡県内でボランティア活動や市民活動に関心を持つ人たちや実際の活動に参加している人たちが一堂に会し、情報の交換や話し合いを通してお互いの活動に関する学習を深めるとともに、ボランティア同士のネットワークづくりを推進することを目的に開催されます。
 私はこの研究集会の実行委員として企画・参加しております。午後の分科会では第7分科会「~ひとりぼっちをなくしたい~自分の・あなたの・みんなの居場所」が担当です。

(福祉心理学科 渡邊英勝)
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「質問カード」 逆に尋ねてみました

  • 福祉心理学科
  • 2016年12月13日

  講義の授業では、各学生に「質問カード」を渡してある。授業の終わり、ほんの3、4分間で記入してもらうことにしている。3年生が多い授業では、ほとんどの学生が何かは書いて提出する。質問以外にその日の授業の感想、意見、要望なんでもいいと言ってあるので質問以外のことも多いが、中にはなるほど、とうなずくような感想や意見もある。

  「障害者福祉サービス」の授業では、身体障害者福祉法が戦後間もない昭和24年に制定されて、その11年後に知的障害者福祉法ができて、ようやく平成7年になって精神保健福祉法が、さらに発達障害者福祉法は平成16年に制定される。このように各法が同時にではなく、時間差があって制定されたのはなぜか。この経緯を考えてみてほしい、と尋ねたら、10人ほどから「質問カード」が届いた。そのうちの何人かは「見える障がい」と「見えにくい障がい」の違いではないか、というものだった。・・・なるほど、それも言えそうである。ただし、その違いだけだろうか、ともうひと押し尋ねてみた。その返信がそろそろ届く頃である。

(福祉心理学科 渡邉 明廣)

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(エッセイ)学生に繰り返し伝えていること 『名前を呼ばれたら 返事をしよう、応(答)えよう!』人と人の関わりをスムーズにするために(そのポイント)

  • 福祉心理学科
  • 2016年11月25日

○人間関係も作用と反作用
 刺激に対しての何らかの反応・変化・行動は生きていること機能している証である。ボタンを押したらブザーが鳴る。アクセルを踏めば車がスタートする。水分食物摂取で生き返る。褒められれば木にも上る。地上でのあれこれは全て刺激や作用とその反作用のバランスによって成り立っている。我々人間社会の生活行動も同様である。
 特に人間という高等動物は、生物としての本能の上に思考や意志の働きがあるので刺激の部分も反作用(防衛反応)の部分も複雑化してくる。その両作用においてアンバランスが生じるとストレス反応が起こる。人間社会でのストレスの多くは人間関係に起因するといっても過言ではない。職場の不仲、学校のいじめ等々の多くの問題はマイナスの人間関係からくるものであろう。

○より良い人間関係の形成
 社会生活する人間は、人間関係の良し悪しで、生活(人生)が大きく変わってしまう。関係性が良ければ3人でも気持ちよく5つ仕事が出来てしまう。然し悪ければ5人でも3つの仕事が回らないし後味も悪い。是非ともプラスの人間関係を形成したいものである。
 より良い人間関係づくりはスマホやパソコンに交信を任せるのでなく、顔と顔を合わせ生の声の行き交いが大切であり、それがベースとなる。その時の表情や態度行動も大きく影響するので笑顔が欲しい。先ず日常の挨拶や会話に心がけ実践することである。それに気持ちが込められていればなお良い。『こんにちは赤ちゃん』の母子関係こそが原点である。
 その意味で私の授業では繰り返し、出席点呼の折りに『必ず返事をするように!』と伝えている。問われたら応えるこれが人間関係形成のスタートである。マナーである。その時の聴き方と話し方が大きな『カギ』となる。そのポイントを紹介し、このエッセイを閉じることとする。

  『愚か者は 口でものう言い 賢き者ものは心でものを言う。』

(福祉心理学科 山城厚生)

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