専門外領域の学会への旅 | 静岡福祉大学

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専門外領域の学会への旅

お知らせ

先日、心理学がご専門の先生とともに、長崎で開催された日本家族研究・家族療法学会の学術大会に参加しました。数日前に台風16号が発生しており、「長崎は~今日も雨だった~♪」という歌のように雨になってしまうかもしれない、と思いながら出発しましたが、開催前日の長崎市内観光も、学会の2日間の日程も、帰路も、ときおり日が射すこともあり、幸運でした。

 

専門外領域の学会でしたが、大会のテーマに惹かれて参加しました!写真1 (1)

 

大会は佐世保市のハウステンボス内にひと際高く聳えるタワーシティの一角で行われました。私たちはハウステンボスに隣接するホテルに宿泊したので、まずウェルカムゲートの横にあるコンベンション棟でハウステンボスの入国チケットを受け取り、そこから15分ほど観光気分に浸りながらゆるやかに回る風車を眺め、運河に架けられた橋を渡り、オランダの田園風景を模したフラワーロードを抜けて会場に向いました。

ホテルの部屋の窓から見た大会会場“タワーシティ”
写真2 (1)

 

大会会場までは観光気分に浸りつつ
写真3 (1)

 

初日の基調講演は、「揺らぎ続ける家族療法、その中心はどこに?」と題して、大会長の長崎純心大学の児島教授が講演されました。ホフマン・Lの「家族療法は新種の治療技法以上のものである」という一文に衝撃を受け、この一文は家族療法が心理療法という専門領域に満足できないばかりか、家族自体をも超えていることを意味している、という件が印象的でした。大会企画の「オープンダイアローグと我々は、どこから来て、どこへ行くのか?」という魅力的なテーマのシンポジウムでは、精神科医療や臨床心理学の専門家6名が、「フィンランドの北部深く、北極圏から石を投げたくらいのところ」にある西ラップランドのケロプダス病院を発祥とするオープンダイアローグ(初期の統合失調症の改善に効果があったという)について、白熱した議論を展開しましたが、オープンダイアローグの実態をつかめぬままシンポジウムは終了しました。そこで、書籍販売コーナーで、ヤーコ・セイックラ他著『オープンダイアローグ』(高木俊介他訳、日本評論社、2016)を購入しました。まだ本を開いていませんが、この本で理解を深めたいと思っています。なお、この本の帯に「あなたは『専門性』という鎧を脱ぎ捨てられますか?」と記されていました。シンポジストの皆さんが、○○先生と呼びそうになっては○○さんと言い換えていた訳が解き明かされるとともに、オープンダイアローグも「新種の治療技術以上のもの」であることを確信しました。

 

ムーミンの国から来た本です!
写真4 (1)

 

専門外でしたので分からない用語などもありましたが、心理学の専門家がお隣で解説してくださるという贅沢で刺激に溢れた学会参加でした。ハウステンボスという非日常的な環境で、サンタクロースの村の近くで生まれたオープンダイアローグに出会うことができ、専門分化が進む一方で学際的な視野の重要性も実感でき、予想以上に充実した2日間でした。学会前日の長崎市内観光も、短時間のタクシー観光でしたが、運転手さんの地元の人ならではの情報が満載で、大いに楽しめました。興福寺の朱色の山門の先に白いサルスベリが咲いていて、それを見た運転手さんが、長崎では小学校で習うのですよ、といって、境内にある歌碑に刻まれた斎藤茂吉の短歌を諳んじてくれました。
長崎の昼しづかなる唐寺や思ひいづれば白きさるすべりの花  斎藤茂吉

(医療福祉学科 加藤あけみ)

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