「2才の紙袋」「3才の紙袋」 | 静岡福祉大学

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「2才の紙袋」「3才の紙袋」

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 最近、次のような質問を受けました。駅の売店で売っている手提げ袋のサイズには2種類があり、縦横が41センチ32センチのを2才、31センチ32センチのを3才というが、なぜ「才」というのかというものです。和風紙専門の若狭屋紙商店のホームページを見ると、原紙のサイズはハトロン判(900×1200ミリ)と決まっていて、効率よく裁断するとこの2種のサイズとなる、2才はハトロン判から2枚、3才は3枚製造できるサイズだとあります。この説明で、なぜ番号が大きくなるとサイズが小さくなるのかが分かります。裁断しているからです。では「才」の意味は何でしょうか。「裁」の字ならば意味が通ります。そこで、近世古文書を見ると、「裁判」を「才判(多ク候二付)」とも書いた(林英夫監修『新編古文書解読字典』)ように、「才」は「裁」と通用しました。こうした慣用は案外現代でも残っているものです。次に、「裁」を調べると、菊判の本の半分の大きさを表す言葉として「菊半裁(截)判」があって、芥川龍之介も「菊版、四六版、菊半裁版などの無数の本」(「河童」)と使っています。「半裁」とは半分に「裁断」することですから、「半分」と類義の「二分」を使った、「二裁」という語があったことが推定されます。こうして、「二才」「三才」とは「二裁」「三裁」(二つ、三つに裁断する)の意味だと結論付けられそうです。年齢を表す「2才」「3才」も「歳」の代用字ですから、「才」は使いやすい文字と言えます。
(子ども学科 久島 茂)

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