「芸術の秋」に寄せて | 静岡福祉大学

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「芸術の秋」に寄せて

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私が、絵画鑑賞に目覚めたのは、1997年夏だった。語学研修のため、イギリスのヨークに滞在し、その後、ロンドン経て、パリを訪れるという旅程だった。尊敬する先生からの「ヨーロッパでは芸術に触れてくるように」とのご助言に従い、ロンドン滞在中にナショナル・アート・ギャラリーを訪れ、そこで出会ったのが、モネの絵だった。その作品は突然飛び込んできて、私の心をわしづかみにし、そこから目を離すことができなかったことを今でも鮮明に覚えている。それは、モネお得意の水面の絵だった。その水面が揺れているかに見える、その動きが私にとっては、たまらなかったのだ。それ以降、モネの作品を中心に絵画鑑賞をするようになり、その後、ムンクやシャガール、クリムトへの好きな画家は変遷してきたが、モネが私をアートの世界にいざなってくれたことは間違いない。

モネとの最初の出会い以降、私は2002年冬、2012年春、2017年夏と3度ロンドンを訪れ、その度にナショナル・アート・ギャラリーを訪れた。しかし、1997年夏に観た、モネの絵には、その後、一度も出会えていない。あの時、期間限定で展示されていた絵だったのか、それとも私が数ある作品の中から見つけられないだけなのか、それとも、あの時と感じ方が変わってしまい素通りしているだけなのか、わからない。ただ、なんとなく、芸術との出会いは、その“瞬間”のものであり、別の“瞬間”には、また別のものに変容しているのかもしれないと感じている。

静岡市美術館で現在、「ターナーからモネへ」という展覧会が開催されている。是非、足を運んでみたい。

(子ども学科 上野永子)

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