『おかあさんとあたし。』 | 静岡福祉大学

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『おかあさんとあたし。』

教員ブログ

 最近気にいった本をご紹介したいと思います。ムラマツエリコさん・なかがわみどりさん(2000)の『おかあさんとあたし。』大和書房。

まずはこの本との出会いに意味があるように思えるので、少し長くなりますがそこから書きたいと思います。この本は子ども学科のO先生が“大学のために”と買ってくださった絵本の1冊で、長いこと保育実習指導センターの本棚に置いてあったものです。私は何度もこの本棚の前にしゃがみこみ、いろいろな絵本を手にとっては読んで/眺めていたのですが、なぜかこの『おかあさんとあたし。』は長いあいだ通り過ぎてしまっていました。その日、たまたま目に留まったので手にとると、そこにいらしたセンターのOさんに「先生、その本、お部屋に持っていって読んでください」と言われました。Oさんがそうおっしゃるのだから、そしてO先生が買ってくださったものだから、きっとなにかしらある本なのだろうなぁと思い、ドキドキしながら研究室に持って帰りました。

さて読んだあとの感想や内容について書こうと思うと、うーん、とてもむつかしいのですね。いるいるこういう子、と思わず笑みがこぼれたり、母の感触がまざまざとよみがえってぽろぽろ涙がとまらなくなったり…おとなとしての私と子どもとしての私を行ったり来たり、とても忙しい本でした。この本を読むことでよみがえる感覚…それは肌ざわりやにおいを伴うもので、それぞれのひとがそれぞれにもっている固有の記憶なのだと思います。でもそれは、みんなどこかでつながっていると信じられる。少なくとも私は、OさんやO先生とはおそらくつながっていると、確信に近く思いました。聞けば、ここを卒業していったRさんが気に入って読んでいた本だといいます。うんうん、Rさんともつながっている気がする、となつかしく思いました。そしてすぐ、4年生のゼミ生にはぜひ手にとってもらいたいなぁと思いました。読後、「あのひとに」と思い浮かぶ本に出会えるのも、とてもうれしいことです。

(子ども学科 山下紗織)

2018 教員ブログ用写真 山下紗織
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