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私が障がい者介護から離れられない理由~「障害者週間」に寄せて~

教員ブログ

 介護福祉士を取得して、障害者支援施設(旧身体障害者療護施設)に就職した。配属されたユニットにその方はいた。その方は事故により身体に障がいを持った女性で、出会った頃は40代後半だった。

 勤め始めて数年経ったある夜勤の日。深夜にその方からナースコールがあった。不安で眠れないという。私はその方のベッドサイドに椅子を置き、静かに座った。1時間くらいすると、「ありがとう。だいぶ落ち着いたからいいよ」と言われ、その場を離れた。私としては何気ない日常の一コマであったが、後になりその方から「あの時、あなたがいてくれて本当に助けられた」と言われた。その日のことが私たちの関係をさらに深めることとなった。

 

 私が教員になってからも、年賀状のやりとりやお電話などで連絡を取り合うことが続き、もう30年近いお付き合いとなった。昨年、珍しく年賀状が来ず、何かあったのではと心配していた。今年の年賀状に「お元気ですか。よければ一度お電話ください」と書いたところ、2月にその方がお電話をくださった。それが最後の会話となった。

 

 いまあらためて考えることがある。資格を取得しても、あの頃の自分は決して一人前ではなかった。先達である多くの障がいを持っている人たちが、人として大切なことや介助を提供する上で必要なことを教えてくださり、いまの私があるように思う。介護という営みは、お互いの関係が希薄になりつつある中で、人間が成長するために必要な体験の一つなのかもしれない。だから、私は障がい者の人たちからも、介護の世界からも離れることができずにいる。

 

 *本ブログは、ご遺族に原稿を確認いただき了承を得た上で、掲載致しました。

  ご遺族の皆様には、あらためて感謝申し上げます。

 

健康福祉学科 木下 寿恵