命の営み(生活)を支える | 静岡福祉大学

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命の営み(生活)を支える

教員ブログ

 地球に存在する命の源は、40億~30億年前に誕生した一つの生命から始まったと考えられています。潜水探査船「しんかい6500」が明らかにしたように、海底1500mの400度の熱水噴出孔で生きているバクテリアなどを起源とするのではないかと言われています。私たち人類の先祖であるホモサピエンスは、20万年前にアフリカに出現し、現在までに地球の隅々に存在するようになりました。おびただしい命が失われる天変地異、災害、病気、戦争等を経て、今日まで綿々と命の連鎖は続いています。
 私たち一人ひとりの命も4億個の中の1個の精子と400個の中の1個の卵子の1600億分の1の奇跡の出会いと、両親の愛情によって育まれ存在しています。
私たち一人ひとりの命の連鎖をたどると、地球に誕生した最初の生命にたどり着きます。私たち一人ひとりが現に存在できているのは、この命の連鎖が人類や地球上に起こった様々な危機を潜り抜け、断ち切られることがなかったからです。一人ひとりの命は想像を絶する偶然と奇跡の結果であり、かけがえ(掛け替え)のない(無い)ものなのです。
 介護福祉は命を支えます。命の営み(生活)を支えることで命を支えます。医療は命を脅かす病気を除去して命を支えようとしますが、介護福祉は食事、排泄等、命の営みを支えて命を守ります。
介護福祉は華やかではありませんが、汚くはありません。そこにあるのは人間のかけがえのない命の営みだからです。
介護福祉は楽ではありませんが、辛くはありません。今日一日を精一杯生きていることを支えているからです。
介護福祉には何物にも代えられない喜びがあります。笑い合い、励まし合い、助け合い、支え合い、感謝し合うからです。
 しかし、我が国の介護福祉は危機的です。先日の川崎市の民間企業経営の有料老人ホームの無資格職員の行為とは言え、三階から体の不自由な入所者を突き落すなどということはあってはならないことです。ここまでの荒廃を招いたのは政策当局のミスリードです。衆参国会議員717人に一人当たり年間4200万円の報酬が支払われていたり、改革と言っては役人の新しい天下り組織が次々と作られたり、37兆4000億円にまで増大した医療費の抑制に手が付けられずにいる反面、介護保険で支払われる介護サービス給費の半分、僅か3718億円しか公費から支出されていません。これでは我が国の国民、高齢者も介護職員も幸せになれません。一日も早く現状が改善されることを願っています。
(健康福祉学科 船城秀樹)

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