サグラダ・ファミリア(聖家族教会)とアントニオ・ガウディ | 静岡福祉大学

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サグラダ・ファミリア(聖家族教会)とアントニオ・ガウディ

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研究のため、スペインのバルセロナを訪問した。バルセロナと言えば、建築家アントニオ・ガウディと彼の代表作であるサグラダ・ファミリア(聖家族教会)を思い出す。

1882年に建設が始まったサグラダ・ファミリアは、直線、直角、水平がほとんどない外観である。これは「逆さ吊り実験」を行って柱の形状などを求めたためだ。ワイヤーを構造体に見立てて上下に180°ひっくり返した模型をつくり、柱の先にはその上からかかる荷重に相当する重りをぶら下げる。すると、ワイヤーでできた建物は、引っ張る力だけがかかる形で安定する。サグラダ・ファミリアは、このような構造力学を使って設計された。

ガウディは、サグラダ・ファミリアの設計を引き受けると、40日間の断食を通じて生死の境を彷徨う。彼は自ら死を体験することで神に近づき、神からの依頼として教会建築の構想を生み出そうとした。生涯独身を通し、晩年はサグラダ・ファミリア以外の仕事をすべて断り、収入も財産も全て教会建築に注ぎ、最期は浮浪者同然の格好で路面電車にひかれ亡くなった。

サグラダ・ファミリアには、「生誕のファサード」「受難のファサード」「栄光のファサード」の3つの門がある。この「ファサード」とは「建築物の正面」という意味で、人間が味わう人生の三つの局面を表していると言われる。ガウディの人生を振り返ると、ファサードの意味を味わうことが出来る。着工から現在で133年が経過した。2026年完成を目指して建築が進んでいる。

(福祉心理学科 岩本勇)

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