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~教員ブログ~「新しい生活」について

教員ブログ

 新型コロナウィルスの感染拡大により言われるようになった「新しい生活」。
 皆さんは、どう感じていますか?

 まだ今年のはじめ頃は、まさかこんなに社会経済に影響が及ぶと考えた人は少数だったかもしれません。マスコミでは、連日専門家や政治家がそれぞれの意見を主張し、様々な見解がネット上で話題になっていました。

 やはりショックだったのは、誰もが知る有名芸能人の病死でした。一気にこの感染症が身近なものに感じられるようになり、社会全体が自粛の方向に舵を切り、「新しい生活」が始まりました。

 幸い本学では、6月から通常の面接授業に戻ることができましたが、学生の皆さん、特に新入学の1年生の皆さんは、不安が大きかったのではないてしょうか。やはり学生生活は、実際キャンパスに通い、ちょっと退屈な?授業を受け、友達と語らい、一緒に遊びに行く、というのが、極めてあたりまえなのですが、本来の姿だと思います。一教員として、本当に申し訳なく思ってしまいます。

 前期に、非常勤講師として出講した東京のとある女子大学は、前期の15回すべてリモート授業になってしまい、大学に1回も行くことなく、学生とも直接顔を合わせることなく終わってしまいました。後期に出講する大学も、リモート授業で始まっています。

 社会的な自粛活動の反面、ステイホームで家庭にいる時間が長くなったため、DVや児童虐待の件数は増加しているという報告があります。社会的な人間関係が疎遠になる中で、家族という身近な人間関係が引き起こす様々な問題が深刻化している状況は、本当に問題だと思います。

 そして今、芸能人の自殺の問題がクローズアップされています。社会学専攻の大学院生だった当時、「理論社会学特講」という授業で、社会学の古典の一つであるフランスの社会学者エミール・デュルケームの「自殺論」を学習しました。自殺について、個人的要因のみならす、社会的要因を分析し、「自殺は伝播する」という主張に、当時のアイドル歌手が自殺した後、熱烈なファン約40人ほどが自殺したということを思い出しました。

 先が見えない不安は、誰にでもあります。今の社会は、見えにくいストレスがたまり、その発散方法も制限されているように感じます。さらに現代社会においては、インターネットの情報やSNSといったリアルタイムでの双方向のやりとりが大量にしかも瞬時に行われます。便利なツールであるべきものが、いとも簡単に凶器に変貌してしまいます。

 自殺の実行に至る激しい心情は、長続きはしないと言われています。そのコントロールが可能ならば、もっと自殺は防止できるかもしれません。そして悩みを打ち明けられる身近な人間関係、ストレスを発散できる趣味などの没頭体験の大切さが指摘されています。

 「新しい生活」とはいったい何なのか。「今年のお盆は帰省できなかったな。両親や祖父母のお墓参りもしていないな。」「今年は飲み会がなくなった。」「旅行にも行っていない。」「今頃、コスモスが盛りかな。写真撮りにいきたいな。」

 幸い、僕の知る範囲の人間関係に、新型コロナウィルスの感染者はまだひとりもいません。

 

 福祉心理学科 福田幸夫